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包茎

 生まれたての男の赤ちゃんの亀頭は包皮に覆われていますが、成長に伴って徐々に剥けるようになります。いつ剥けるかは子供によって違います。黒川ら1)は1244人の男の子が自然に包皮翻転するまでの平均年齢を調べて、亀頭と包皮の分離開始が1歳、包皮翻転で亀頭が一部露出できるのが2歳、亀頭が半分以上露出できるのが7歳、亀頭が冠状溝まで露出できるのが10歳と報告しています。
 思春期になればほとんどの男の子が自然に剥けるようになりますので、赤ちゃんの頃に無理をして剥く必要はありません。

治療がいるのはどんな時?

 子供の包茎は病気ではなく自然な状態です。「剥けない!」と心配して病院に連れてくる必要はありませんし、無理やり剥いて洗ったりしなくても良いのです。
 しかしながら、以下のような状態で治療が必要になる男の子がいます。

亀頭包皮炎

包皮が赤く腫れて痛くなります。膿が出ることもあります。清潔を保ち、抗生剤や塗り薬で治療します。何度も繰り返すと、包皮が固くなって包皮口がピンホールのようになってしまうことがあります。

図1.jpg

陥頓包茎

 包皮を無理に翻転して戻さずにいると、亀頭が皮膚で締め付けられてひどく腫れてしまいます。急いで戻す必要があります。緊急手術になることもあります。

図2.jpg

排尿障害

 おしっこの出口が狭くなって包皮におしっこがたまって風船のように膨らんだり(バルーニング)、おしっこがまっすぐ飛ばずに尿線が飛び散ってトイレがひどく汚れてしまったりします。

どんな治療をするの?

 ステロイド入りの軟膏で包皮を広げる方法と、手術があります。

軟膏治療

 包皮と亀頭のくっついている部分にリンデロンVG軟膏を塗ると、少しずつ剥がれて亀頭を露出できるようになります。1日2回、清潔な状態で軟膏を塗りましょう。剥いたあとはきちんと包皮を戻さないと陥頓して図2のようになってしまいます。必ずもとに戻しましょう。

手術

 狭小化した包皮孔を3か所縦切開して横方向に縫う3点切開法と、包皮の狭小部をぐるっと1周帯のように切除する環状切開法があります。
 環状切開法では術後は常に亀頭が露出するようになります。当科では小児の亀頭は常時露出させる必要はないと考えており、3点切開法を施行しています。

3点切開法

 包皮の狭小化した部分を縦に切開するとダイヤモンド型に広がります。3か所縦に切開し、狭窄が解除されたら細い糸で横に縫います。溶ける糸で縫いますので抜糸はいりません。
日帰り手術をしていますが、術後の痛みが強くて不安な時は1泊していただきます。

図3.jpg

 当科では、宗教や文化的な理由での包茎手術(割礼)は行っておりません。

文献

 1)黒川覚史ら:陰茎包皮翻転までの自然史から小児包茎の治療適応を考える-1244例の解析-. 日泌会誌 2013