正中頚嚢胞
胎児期に甲状腺が舌の付け根のあたりに発生し、首の真ん中を降りてきて気管前面で甲状腺が完成します。その降りてきた通り道(甲状舌菅)は甲状腺の完成後消えてなくなるのですが、なくならずに遺残すると嚢胞や瘻孔になります。
図1 首を伸ばして上を向くと、首の真ん中がポッコリ膨らんでいるのが見えます
通常痛みや違和感はありませんが、感染を起こすと痛みや発熱を伴ったり、破れて膿が出てきたりします。長期間放置して癌が発生した報告もありますので、発見されたら早めに小児外科を受診してください。
感染すると赤く腫れます
嚢胞に膿がたまって痛みます。破れて膿が出てくることもあります。
どんな治療をするの?
治療は手術しかありません。嚢胞だけでなく、遺残している甲状舌菅を舌の付け根までたどって、舌骨の一部も切除に含めて摘出します。術翌日から食事を開始して、術後2-3日目に退院していただきます。
正中頚嚢胞根治術(Sistrunk術)
舌骨中央部を含めて甲状舌菅を全摘します。
図3 手術の様子
図4 手術の傷はほぼ分からなくなります
手術をしても3~5%の再発が報告されています。しばらく外来で経過観察します。