正中頚嚢胞
当院では小児外科専門医が正中頚嚢胞根治術を行っています
患者さんの声はこちら
胎児期に甲状腺が舌の付け根のあたりに発生し、首の真ん中を降りてきて気管前面で甲状腺が完成します。その降りてきた通り道(甲状舌菅)は甲状腺の完成後消えてなくなるのですが、なくならずに遺残すると嚢胞や瘻孔になります。
図1 首を伸ばして上を向くと、首の真ん中がポッコリ膨らんでいるのが見えます

通常痛みや違和感はありませんが、感染を起こすと痛みや発熱を伴ったり、破れて膿が出てきたりします。長期間放置して癌が発生した報告もありますので、発見されたら早めに小児外科を受診してください。
感染すると赤く腫れます
嚢胞に膿がたまって痛みます。破れて膿が出てくることもあります。
どんな治療をするの?
治療は手術しかありません。嚢胞だけでなく、遺残している甲状舌菅を舌の付け根までたどって、舌骨の一部も切除に含めて摘出します。術翌日から食事を開始して、術後2-3日目に退院していただきます。
正中頚嚢胞根治術(Sistrunk術)
舌骨中央部を含めて甲状舌菅を全摘します。舌骨をきちんと取らずに皮下の嚢胞だけを摘出すると約50%が再発すると報告されています 1)。
図3 手術の様子

舌骨中央部を含めて
甲状舌菅を全摘します



舌骨中央部を含めて
瘻管を切除します

5-10㎜くり抜き結紮切離し摘出

舌骨裏面に
瘻管をつけています
図4 手術の傷はほぼ分からなくなります

術直後

舌骨を含めて甲状舌管をきちんと摘出をしても、約6%の再発が報告されています 1)。しばらく外来で経過観察します。
1) Jeffrey A Koempel. Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2014 (11):1877-82
正中頚嚢胞手術入院の1日
