急性虫垂炎
いわゆる「盲腸」と呼ばれている病気です。右下腹部の痛みが特徴的ですが、こどもは症状が分かりにくく、また腸の壁が薄いので破れやすいという問題があります。破れてしまうと、お腹の中に膿がたまるので治療に時間がかかり長期間の入院が必要になることもあります。
図1 右下腹部が痛みます
どんな治療をするの?
抗生剤治療と手術の2つがあります。
- 抗生剤治療
抗生剤で炎症を抑えます。1週間ほど入院が必要になります。効果がなければ手術になります。また、虫垂が残っているので再発することがあります。
- 手術
虫垂を手術で摘出します。おなかの中に膿がたまっていたら、きれいに洗います。昔はおなかをあける開腹術が標準術式でしたが、近年は腹腔鏡手術が一般的です。手術翌日から食事を開始して翌々日に退院していただきますが、重症の虫垂炎の場合は入院が長期化することがあります。
単孔式腹腔鏡下虫垂切除術
従来の腹腔鏡手術は腹部に複数の穴をあけて器具を挿入して行いますが、当院ではお臍に1か所だけ穴をあけて手術を施行します。お臍から5㎜の細長いカメラと鉗子を挿入し、虫垂をお臍から引っ張り出して切除します。
- 図2 手術の様子
術後の傷はお臍の中に隠れて目立たなくなります。傷が小さいため術後の痛みが少なく、回復が早い利点もあります。
- 図3 手術の傷はほぼ分からなくなります
傷が小さいので痛みが少なく、術後はほとんど傷が分からなくなります。
- 図4 単孔式手術の適応にならないこともあります
病状によっては、3か所の穴で腹腔鏡手術をしたり、おなかをあけて開腹手術をすることがあります。
繰り返す右下腹部痛
明らかな虫垂炎の所見がなくても、右下腹部痛を繰り返すことがあります。痛みのために日常生活に支障をきたして生活の質の低下を招く原因になりますが、診断や治療に苦慮することが多いです。
こういった症例に対する虫垂切除術で、約8割の症例で痛みが改善することが報告されています。右下腹部の痛みを繰り返すようなお子さんは一度ご相談下さい。