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医療事故等公表基準

制定 平成29年 9月 1日
最終改正 令和6年3月14日

目的

 この基準は、医療事故の公表に関する取り扱いについて必要な事項を定めるものとする。
 病院職員は、次に掲げる公表の意義を正しく認識し、医療事故防止に努めるものとする。


(1)病院職員が事故原因の分析や再発防止への取り組みなどの情報を共有化し、医療における安全管理の徹底を図る ため、自発的に医療事故を公表していくことが求められていること。
(2)市民病院として社会に対し事実を誠実に説明する責務を有しており、公表により病院運営の透明性を高め、市民 の信頼を得ることができること。
(3)医療事故に関する情報を公表することは、他の医療機関の安全管理にとっても有用となること。

用語の定義

(1) 医療事故

 医療事故(アクシデント)とは、医療に関わる場所(注1)で、医療の全過程(注2)において発生した、患者または家族に障がいや不利益をもたらした事例で、次の2つに区分される。
 ①医療過誤=過失のある事故
  医療事故のうち、医療従事者・医療機関の過失により起きたもの。
 ②過失のない医療事故
  医療従事者・医療機関の過失がないにもかかわらず起きたもの。

 また、患者が廊下で転倒し負傷した事例のように、医療行為とは直接関係しない施設や設備の使用・管理上の事故も医療事故に含むものとする。なお、医療従事者が被害を受けたものは、本基準の対象としない。

(注1)「医療に関わる場所」とは、原則として病院建物及び敷地内とする。
(注2)「医療の全過程」とは、医療に関わる場所において医療行為を行っている状況のほか、患者が医師等医療従事者の管理下にある状況を含む。

(2) インシデント事例

 医療従事者が医療を行う上で、医療事故に至らず未然に防げた例や実施されたが患者に障がいや不利益を及ぼさなかった事例を指す。

(3) 合併症

 医療行為に際して二次的に発生し、患者に影響を及ぼす事象をいう。予期しなかった合併症は過失のない医療事故に含まれる。

医療事故、インシデントの患者影響レベルと内容

レベル

内      容

0

エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが患者に実施されなかった

1

患者への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない)

2

処置や治療は行わなかった(患者観察の強化、バイタルサインの軽度変化、安全確認のための検査などの必要性は生じた)

3

a

行った治療または管理により、本来必要でなかった簡単な治療や処置(消毒、湿布、鎮痛剤投与等の軽微なもの)が必要になった場合

b

濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など)

4

永続的な障がいや後遺症が残った

5

死亡(原疾患の自然経過によるものを除く)

公表する医療事故の範囲及び方法

(1) 表のレベル4または5に該当する医療事故で原因が医療過誤によるもの

 ①公表時期:医療事故発生後、速やかに行う。
 ②公表方法:当院のホームページに掲載し、併せて報道機関に資料提供を行うものとする。

(2) 表のレベル4または5に該当する医療事故で原因が医療過誤か合併症など過失の無いものかの判断が困難なもの

A医療過誤(またはその可能性が大きい)と判断される場合
 ①公表時期:医療事故調査委員会等による調査結果が出たのち、患者及び家族と解決(和解等)し公表同意後、速やかに行う。
 ②公表方法:上記(1)の②と同様とする。

B過失が特定出来なかった場合
 医療事故調査委員会等による調査結果により、他の医療機関の事故防止につながる事例など公表することの社会的意義が大きい場合については、院長が公表の適否を判断する。

 ①公表時期:医療事故調査委員会等による調査結果が出たのち、院長の公表判断を行い、患者及び家族と解決(和解等)し公表同意後、速やかに行う。
 ②公表方法:当院のホームページに掲載し、必要に応じて報道機関に資料提供を行うものとする。

(3) 原疾患の治療中、予期しなかった合併症、予期したものを上回った合併症により死亡した場合

 原則として公表を行わないが、他の医療機関の事故防止につながる事例など公表することの社会的意義が大きい場合については、院長が公表の適否を判断する。
 ①公表時期:院長の公表判断を行い、患者家族と解決(和解等)し公表同意後、速やかに行う。
 ②公表方法:上記(2)Bの②と同様とする。

(4) 患者影響レベルおよび過失の有無にかかわらず多数の患者に被害がおよぶなど社会的な影響や病院運営への影響が大きいと考えられる医療事故、または医薬品の予想されていなかった副作用や、医療機器・用具の欠陥による事故等、公表することが他の医療機関の事故防止に明らかにつながる事例については院長が公表の適否を判断する。

 ①公表時期:院長の公表判断を行い、患者及び家族と解決(和解等)し公表同意後、速やかに行う。
 ②公表方法:上記(2)Bの②と同様とする。

(5) インシデント事例の取り扱い

 インシデント報告については、事例に係る情報を蓄積し、集計、分析、評価を行うなど、医療事故防止の基礎資料として活用することを目的に収集しているものであり、本基準の対象としない。

患者及び家族等への配慮

 公表にあたっては、患者及び家族のプライバシーに配慮するため、患者、家族に公表の内容、時期、方法等を説明し、原則として書面により同意を得るものとする。また、公表にあたっては、公表する内容から患者および当該医療事故に関わった医療従事者が特定、識別されないように個人情報の保護に十分注意する。