研修の理念・基本方針と役割
研修理念
より良い未来のため、地域医療に貢献すべく、プライマリ・ケアの診療能力を身に付け、総合力のある医師を市民とともに健都で育む。
基本方針
次のような資質を備えた医師を育成する。
- より良い未来のために、まずは病院内で働きやすい環境を整えることが大切である。初めて社会人として歩み出すにあたり、病院内において、どの様な職種があり、それぞれどのような役割を持っているかを理解する。そして、毎日元気に挨拶をする。そのように、いろんな職種の人と交わり、お互いを尊敬し合いながら医師として歩み出す。
- 地域医療に貢献するためには、医療者として尊敬される医師像を理想にあげ、そうなれるよう目指す。地域医療は、患者さんはもちろんのこと、ご家族、さらには看護師、介護士、薬剤師、検査技師、救急隊、他病院の先生など、たくさんの病院、施設の方々から成り立っている。今後ますます高齢化社会となり、病院だけでは医療は完結せず、様々な福祉資源を理解した上で少しでも地域医療に役立てる様に研鑽を積む。そのためには患者さんの立場に立って様々な状況を理解しようとする姿勢が必要である。
- プライマリ・ケアの診療能力を身につけるには、まずは自ら率先して様々なことを経験する必要がある。研修医にとっての勉強材料は至るところにある。それらをどう生かすは、自分次第である。当院の指導医は、研修医達が進んで行う医療行為等は大歓迎であり、その行為に対する指導は惜しまない。ただし、行って良い医療行為、一人で行ってはいけない医療行為を理解しておくことも重要である。
- 総合力のある医師になるには、検査所見だけではなく、患者さんの訴えを真摯に聞いた上で、さらにはきめ細かい診察を行い、その上で患者さんに寄り添い考えていくことが重要である。文献検索なども利用し、症例を一つひとつまとめ、発表することも大事である。院内で発表する機会はあるし、学会発表も可能である。そのためには日々リサーチマインドを持って診療に取り組むことが必要である。医療者にわかるプレゼンテーションが出来る様になることは、患者さんに対する説明能力を高める事に繋がる。
- 今後、研修医が引き続き市民とともに健都で育むためには、健康医療都市健都の名に恥じない病院にする必要がある。健都はまだスタートしたばかりであるが、君たち研修医が当院の歴史を作り、さらには健都の歴史を作るくらいの意気込みで研修に取り組んでほしい。今後もますます健都ですばらしい臨床医が育める様、全スタッフをあげて、研修をサポートする。そして、日本を代表する医療都市となり、その中核を担う医師の育成を目標とする。
臨床研修病院としての役割
市立吹田市民病院は、地域の公的中核病院として、質の高い医療を市民に提供するとともに、広く社会の医療福祉に貢献できる人材を育成する。
- 基幹型臨床研修病院として、臨床研修協力施設とともに臨床研修に積極的に取り組んでいる。地域と密着した医療を提供しており、頻度の高い疾患に対するプライマリ・ケアから様々な分野の希少な疾患に至るまで多様な患者さんに対応できる人材と医療資源が整備されている。
- 病院内での業務を通じ、医師として第一歩を歩むとともに、臨床スキルを高める。また、地域研修における臨床研修協力施設のもとで、吹田市における当院の役割を改めて自覚する。
- 当院には毎年多数の医学生の教育実習や臨床研修医の見学等が行われている。さらに初期研修医向けの院内セミナーや、研修医の発表の機会がある。
- 研修医は各学年4-5人であり(阪大プログラムを合わせると〜7名)、多すぎず、少なすぎず、指導医の目が行き届きやすい数で採用している。また研修医同士仲が良く、切磋琢磨しながらお互いを高め合うことが出来る。
- 指導医層は全体に臨床診療能力、指導能力が高く、日常の臨床指導に加えて多数の院内カンファレンス、レクチャー、BLS/ACLS研修、シミュレーション教育での指導が行われている。特にカンファレンスは各科主催のカンファレンス以外にも全内科専門診療科が参加するものも開催している。
- 指導医層は全体に臨床診療能力、指導能力が高く、日常の臨床指導に加えて多数の院内カンファレンス、レクチャー、BLS/ACLS研修、シミュレーション教育での指導が行われている。特にカンファレンスは各科主催のカンファレンス以外にも全内科専門診療科が参加するものも開催している。
- 上級医(指導医)と共に様々な症例、患者さんを経験するとともに、自分が担当主治医である自覚を持ち、その症例に対する責任を上級医とともに持つ。さらには、後輩の指導を通じての経験も積む。
プログラム全体としての方略
基本方針に挙げた医師を育成するため、プログラムの基本方針としての目標を以下に掲げる
一般目標(GIO)
- 医師として、病める人の尊厳を守り、医療の提供と公衆衛生の向上に寄与する職業の重大性を深く認識する。
- 医師としてのプロフェッショナリズム及び医師としての使命の遂行に必要な資質・能力を身につける。
行動目標(SBOs)
- 社会的使命を自覚し、患者や家族の多様な価値観に配慮し接することが出来る
- 人間の尊厳やプライバシーに配慮し、適切に行動できる。
- 最新の医学及び医療に関する知識を獲得し、診療上の問題に対して、科学的根拠に経験を加味して解決を図ることが出来る。
- 臨床技能を磨き、患者の苦痛や不安、考え、意向に配慮した診療が出来る。
- 患者の心理・社会的背景を踏まえ、患者や家族と良好な関係性を気付くことが出来る。
- 医療従事者をはじめ、患者や家族のすべての人々の役割を理解し、連携を図る。
- 患者にとって良質かつ安全な医療を提供する。
- 医療のもつ社会的側面の重要性を踏まえ、各種医療制度・システムを理解する。
- 医学及び医療における科学的アプローチを理解し、学術活動を通じて医学及び医療の発展に寄与する。
- 医療の質の向上のために省察し、他の医師・医療者と共に研鑽しながら、後進の育成にも携わり、生涯にわたって自律的に学び続ける。
- コンサルテーションや医療連携が可能な状況で診療が出来る。